愛知県出身、40代後半のTさん。
大学では農学部にて、食品に関連する資格を取得。卒業後は「食品」という一貫したキーワードをもとに、食肉加工業・メーカー・小売店など業態を変えながら、商品開発・品質管理・店舗管理など、これまでに6社で幅広く業務を経験してきた。
今の会社で定年まで働くと思っていたのに・・・
直近の品質管理の職に至るまでの間に、製品の開発・営業・飲食店・店舗での販売業務を経験。
これまでに製品の開発から顧客の手に渡る段階までの一連の流れに携わってきたこともあり、消費者のニーズに合わせた製品を安定的に製造することがいかに重要かをTさんはよくわかっていた。
同時に品質管理の仕事にやりがいも感じていた。
品質管理責任者として当然この先も同社で定年まで活躍していくことを望んでいた。
しかし、Tさんの想いとはうらはらに会社の業績は悪化。
新たな商品プロジェクトも下降気味で、品質管理部門もこれまでの活気はなくなっていった。
売上に直接貢献できない間接部門の問題提起や原価低減活動は、このような状況の中では重要視されなくなってきていた。
現職の会社に将来が見えなくなってきたことをきっかけに転職を考え始めたが、50歳を目前に転職をするにはリスクが高すぎる。しかし、将来への不安な気持ちを払拭したい、そんな思いで、Tさんは転職エージェントに登録をした。
営業・・・販売・・・いや、品質管理!
いくつかの転職エージェントでカウンセリングを受け、求人を紹介されたものの、経験社数のせいか、年齢のせいなのか、提案された求人のほとんどが自分のイメージが沸かないものばかり。
直近では品質管理部全体の管理から部下の教育まで、マネジメントの業務にも携わり、品質管理の仕事にやりがいや誇りを持っていた為、営業職への転職はどうしても受け入れられずにいた。
他に選択肢はないものか・・・
そんな中、みらい人材サポートから「食品メーカーの品質管理職」がオファー求人として届いた。
気にはなったが、いざエントリーとなると躊躇してしまった。
「転職35歳限界説」と聞いた事がある。40代後半の自分が本当に転職できるのか・・・。不安はあったが、選択肢が他に見つかるかもしれないと思い、まずは話だけでも聞いてみることにした。
40代後半、6社経験の自分を受け入れてくれる企業はあるのか・・・
キャリアアドバイザーとの転職面談では、主に自分の経験や食品業界に対する思いを語った。これまでの経験を意気揚々と話した後、神妙な面持ちで切り出した。
「50歳を目前に転職なんてできるのでしょうか・・・」
20~30代の頃のように引く手あまたではないことは重々承知の上だが、今の経験を評価してくれる企業がどこかにないものか。
そしてもう一つ重要な問題が。現職を退職できるかどうか。ただでさえ、不安定な状況の中、部門を管理している自分が退職したいと言ったら引き留めにあいそうだと、相談した。
キャリアアドバイザーからの提案
Tさんは食品業界で一貫して幅広い経験があり、マネジメントの経験もある。
多くを経験してきたが、メーカー・飲食・販売と、どれも「食」に関わるキャリアを積んできたTさんに、キャリアアドバイザーから提案した求人は、食品メーカーA社の品質管理マネージャー職。
Tさんはその企業のことを知っていて、とても興味深いと言ったが、いかんせん現職を退職できるかどうか・・・。
A社からは即戦力として活躍していただける方にできるだけ早く入社してほしいとのオーダーがある。
しかし、マッチする人からの応募がなくて困っていると言っていた。
Tさんの真面目で頼りがいのあるお人柄であれば、マネジメント業務でも活躍できるだろう。また、業界を経験してきたTさんだからこそ、企業にマッチする。
Tさんとの話し合いの結果、A社に応募を進めることにした。
食品業界への想いを語った採用面接
応募に向けての履歴書や職務経歴書を整え、書類選考。
マネジメントの経験もあることから面接の機会を設けていただけることになった。
Tさん自身これで6回目の転職活動。
定着しない経歴がリスクであることが懸念ではあったが、これが最後の転職と決意し、面接に臨んだ。
不安を払拭するように、面接の前にキャリアアドバイザーと打ち合わせを行い、これまでの経歴をどのように活かし即戦力となれるのか、食品業界への想いや人の命にも関わる食品の品質管理の重要性などを語った。
衛生面や品質面において最重要視しているA社の理念にTさんの考えや経験はマッチし、選考は通過。そして内定となった。
よし、内定!でも・・・本当にここでいいのか・・・
他にも食品業界は応募をしていたこともあり、いざ入社の承諾となると少し躊躇した。
入社後はA社で立ち上がっている新たなプロジェクトに携わる予定だそうだ。
若いころはチャレンジすることが楽しみでもあり、転職の際も新しいことへのワクワク感もあったが、この年になると新しい場所や事柄に「えいっ!」と飛び込むことはとてつもなく不安だった。
そしてこれが最後の転職にしたい思いが強い為、慎重にもなる。
だからと言ってこのチャンスを逃すわけにはいかない。
そう強く感じたTさんはキャリアアドバイザーに相談した。
キャリアアドバイザーからは、
「Tさんの豊富な経験がA社ならきっと活かせますし、A社の商品はいたるところで目にするほど売れていて、業績も常に好調です。なにより、A社はそんなTさんをご評価されたのです。Tさんの力を存分に発揮してほしいと言っています!」
Tさんはその言葉に自分が求められていることの喜びを感じ、入社を決めた。
退職の意思をしっかり持つ事
退職交渉は予想通り難航した。これまでお世話になった企業だからこそ、きっぱりと「退職したい」とは言いづらかった。
確かに、現状維持で品質管理の仕事をすることはできる。
しかし、現職に留まっていては経験やキャリアを積むことはもうできないだろう。
A社に入社することを決めたTさんは、退職に向けて、引き継ぎ書の作成やマニュアル書の整理など、準備を始めた。
そしてTさんは退職届を握りしめ、上司に退職を申し出た。
もちろん、引き留めにあい、年収も交渉されたが、すでにA社で働くイメージを持っていたTさんの意思は揺らぐことがなく、A社への入社を進めた。
入社後1か月 「忙しさが私のやりがいに繋がっています。」
入社後からTさんはこれまでになく忙しい日々を送っているそうだ。
また、これまでの経験を活かして、衛生管理・指導などより高い品質の商品を生み出す為の業務を担い、やりがいを感じているとのこと。
まだ不慣れなことばかりだが、ヒット商品が多く東海エリアだけではなく全国で展開されているA社の商品に愛着が湧いてきていると、入社1か月後のTさんは話した。
「とても忙しい毎日ですが、これが私のやりがいです。転職してよかった。」
この言葉がキャリアアドバイザーにとっての最高の誉め言葉だ。
担当キャリアアドバイザーの声
Tさんへのご紹介求人はご希望に沿う案件が決して多かったわけではありません。
その中でも「いいところがあれば」といった具合に最初は消極的でもありましたが、こちらからの提案を一旦は受け入れる柔軟性をお持ちの方でした。
転職面談で話を聞いていくうちに、業界への想いや仕事への誇りなど、想いが溢れ出てくるのがわかりました。
現状のままではTさんのキャリアがもったいないと思い、今回の求人への応募を提案しました。
年齢や経験、転職を重ねると、固定概念や不安がその先のキャリアを躊躇させてしまい、他の選択肢が見えづらくなることがあります。
一人で転職活動をしていると、転職活動をはじめったきっかけや自分の考えが混乱することがある為、転職することすら諦めてしまう方もいらっしゃいます。
もちろん、転職をすることが必ずしも正しいとは言い切れません。
ですが、「転職」や「退職」が頭をよぎることがあれば、一人で悩まずに転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
みらい人材サポートでは求人をご紹介することはもちろんですが、本当に転職すべきなのか、転職をするのであれば何を叶えたいのか、求職者様のベストな選択肢を一緒に見つけていきたいと思います。