商品を生み出し、世に商品を送り出す製造業という業種は、就職先・転職先として常に人気があります。その製造業において、プラスチックの製造・販売を行っている企業で必要とされるプラスチック成形技能士のお仕事。
プラスチック成形技能士の仕事は、工場の製造現場で作業をする仕事というイメージはあるものの、
「プラスチック成形技能士の仕事って大変なの、やりがいってどんなところ?」
といった疑問を抱く人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、プラスチック成形技能士の具体的な仕事内容やそのやりがいなどについて紹介していきます。プラスチック成形技能士の仕事についてより深く知ることで、今まで以上に興味が湧いてくるはずです。
目次
プラスチック成形技能士とは?
プラスチック成形技能士とは、名前の通り、プラスチックの成形を行うプロフェッショナルを指します。プラスチック製品は、熱や圧力などをかけたり、冷やしたりすることによって、ある決められた形に加工されます。これをプラスチック成形と呼び、私たちの生活の中には、たくさんのプラスチック製品が使用されています。しかし、同じようにプラスチックと呼ばれている製品であっても、使う目的や場所によって形はさまざまです。
また、プラスチックの材料についても大きく分けると「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2種類があり、製品によって使い分けられます。
「熱可塑性樹脂」とは… 樹脂射出成型の際に、樹脂を加熱して温度変化によって軟化したり、固体化したりする樹脂のことを指します。(高温で柔らかくなり、低温で固くなります。)利点は、安価で生産でき、量産性も高く、加工もしやすく且つ射出成型で不要になった樹脂部(ランナー)をリサイクルすることができることです。 欠点は、耐熱性が低く、製品の硬度、耐薬品性が劣ることです。 |
「熱硬化性樹脂」とは… 樹脂を加熱することによって硬化して、一度成形されたものは再び熱しても液体化にはならない樹脂のことを指します。利点は、耐熱性が高く、機械的強度も高く、耐薬品性に優れていることです。欠点は、成形時間が長いことでコストが高くなり、リサイクルには適していないことです。 |
プラスチック成形技能士は、専用の成形機や成形機に取り付ける金型、そのほか周辺機器などを用いて、必要な材料を使い、実際の使用に合わせて目的の形を作っていきます。
プラスチック成形技能士の具体的な仕事内容は?
プラスチック成形技能士とは何かということを理解したところで、プラスチック成形技能士の具体的な仕事内容をみていきましょう。
プラスチックを成形する
「プラスチックを成形する」ということは、プラスチック成形技能士のメインの仕事内容になります。プラスチックを成形するには、まず成形を理解する必要があります。
成形とは、合成樹脂(プラスチック)などの材料を加熱して溶かし、製品の形に加工した金型に送り込んだ後、冷やして中身を取り出すことで目的の製品に加工することです。
そして、加工の工程は材料を「溶かす」から始まり、「流す」「固める」「取り出す」「仕上げ加工」の順で行われます。
成形の加工方式は製品によって様々で、代表的な加工方式は
・射出成形
・押出成形
・ブロー成形
・真空成形
・プレス成形
といったものがあります。
成形の加工工程の中で、「溶かす」「流す」「固める」では、製品を安定して大量生産するために成形機に成形条件が設定されています。
成形条件とは、
・「溶かす」際の、樹脂の温度や計量 等
・「流す」際の、樹脂の流速や圧力 等
・「固める」際の、樹脂や金型の温度や冷却時間 等
といったパラメータを組み合わせたものを指します。
特に、新しい製品や製品変更を行った際には、試作品を製造する中で成形条件を色々変えていき、良品が製造できる成形条件を見つけ出していきます。このようなプロセスは「成形条件出し」と呼ばれ、プラスチック成形の仕事で最も重要な部分でもあります。
▼成形の具体的な内容については、以下の記事を参考にしてください。
【成形編】製造業における生産技術職の仕事を深堀り!
プラスチック成形技能士はこれらの工程を行うために、材料や設備を活用することで、実際にプラスチック製品を製造していくことが主たる業務となります。
成形されたプラスチックを検査する
プラスチック成形の仕事は、成形作業をして完了ではありません。
成形したプラスチック製品を見てみると、中には、不完全な成形品ができる「ショートショット」、製品の縁などに材料がはみ出してできる「バリ」や「色ムラ」など、小さなものから大きなものまで様々な不良が出てきます。
製造したプラスチック製品を常に検品してそれらの不良を発見した際は、その都度、機械の調整を施さなければいけません。条件設定や機械の操作法など、適切に製品を作るためには知識と経験が必要となります。
プラスチック成形技能士の仕事のやりがいとは?
プラスチック成形技能士の仕事のやりがいとしては以下の3つが挙げられます。
直接製品に関わることができる
プラスチック成形技能士のやりがいとしてまず挙げられるのが、直接製品に関わることができるということです。
プラスチック成形技能士は、製品そのものを造る仕事ですので、もちろん製品に触れられますし、完成した製品を間近でみることもできます。そのことにより、会社に貢献している、また仕事に誇りが持てるといった形でのやりがいがあります。
一方で、製品を直接扱うため、製品品質に影響を与える可能性が高い仕事でもありますので、製品を慎重に扱うなど責任が求められる仕事でもあります。
スキルの向上が見えやすい
プラスチック成形技能士の仕事は、自分の成長が見えやすい仕事でもあります。
製品の出来栄えが良くなったり、それまでの作業をより効率的に出来るようになったりといった形でスキルが客観的にも見えやすい仕事です。そこにやりがいを見出される方もいらっしゃいます。
新製品の試作・製造
その他にプラスチック成形技能士のやりがいとして挙げられるのが新製品の製造です。
プラスチック成形技能士としてのスキルが高くなると、新しい金型を機械に載せるための条件設定や、適切な原料の量についてなど、全て最初から一つひとつ考えて実施していくことも業務に含まれてきます。当然、最初は不良品が出てくるので、職場の仲間やチームで連携しながら解決していきます。手間が掛かる作業なので大変ですが、それだけに良い出来栄えの製品が出来上がったときには、大きなやりがいを感じることができます。
プラスチック成形技能士の仕事に必要な知識や能力は?
プラスチック成形技能士で働く人には、次のような知識や能力が求められることが多いです。
製品を製造するためのスキル
これまでにも記載しましたが、プラスチック成形技能士は求められるスキルの高い仕事です。
もちろん最初からこのスキルが必要となるわけではありませんが、効率良く作業を行ったり、不良を未然に防止したりするには非常に高度なスキルが必要になってきます。
専門的な知識やスキルを身につけるためにプラスチック成形技能士の資格を取得する方もいます。
プラスチック成形技能士とは、国家資格のもとにある技能検定制度に基づいた資格の一つです。技能検定は、仕事をするうえで身につけておくべき技能の習得度を測るために設けられています。
安全管理能力
プラスチック成形技能士では、設備や機械、材料や薬品を活用して仕事をすることが多く、安全管理能力が求められます。
これは各企業の生産ライン独自に基準を設けていることがほとんどであり、仕事をしていく中で身につけていくことになりますが、自分の体は自分で守るという意識が重要な仕事でもあります。
東海エリアでプラスチック成形技能士として働く
モノづくり大国の東海エリア(愛知・岐阜・三重)には、大手企業やそれらの企業を支える中小企業まで、製造業が多く名を連ねます。
東海エリアでプラスチック成形技能士として活躍できる企業の一例をご紹介していきます。
◆株式会社ライフプラテック
シャンプーやコンディショナー等のポンプディスペンサーやスプレー、ボトルなどの製造を行っている企業です。
企業URL:http://www.lifeplatech.co.jp/index.html
◆大朝理化学巧業株式会社
電気機器のパッケージ部分のプラスチック製品を成形・加工している企業です。
設備は、射出成形機、圧縮成形機、組み立て機等を保有しています。
企業URL:https://daicho.jp/
まとめ
本記事では、プラスチック成形技能士の具体的な仕事内容やそのやりがいなどについて紹介しました。今回ご紹介した企業の他にも各業界のメーカーのホームページを見ると、そのメーカーにおけるプラスチック成形に関する仕事内容が記載されていますので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
気になる企業が見つかった方は、まずはみらいキャリアのキャリアアドバイザーへご相談ください。皆さんのご経験をヒアリングさせていただいた上で、皆さんにとって、最適なキャリアをご提案いたします。
参考URL
◆熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違い
https://xn--pcktayi1hyew870an3ewyotq9aiv1e1etb.com/?p=1876◆仕事内容は?難易度は?プラスチック成形技能士資格を徹底解説!
https://job-con.jp/guide/navi275