近年、様々な場面で耳にするSDGs。その内容は多岐にわたり、日々の生活にも密接に関わっています。転職活動においても例外ではなく、個人の働きやすさや優良企業の見極めなどでも重要な視点となります。
本記事では、求職者がSDGsに関心を持つメリットやSDGsと製造業の関係性を解説していきます。転職活動で企業を見極める際の新たな視点となれば幸いです。
目次
SDGsとは
SDGsはSustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことにより、2030年までに達成を目指す国際社会共通の目標となっています。
SDGsは「17の目標」と「169のターゲット」で構成されます。SDGsを様々な場面で目にするのは、目標(ターゲット)が多岐にわたるため、多くの取り組みがSDGsにつながるためです。
「17の目標」を見てのとおり、おおよそ生活のすべてに関わることがわかります。
引用: SDGsロゴについて
求職者がSDGsに関心を持つメリット
求職者がSDGsに関心を持つことで、よりよい企業を見極める目が養われます。
自身の働きやすさに直結する
SDGsにおける「ジェンダー平等」や「働きがい」、「人の不平等をなくす」といった目標は、一個人の働き方・働きやすさにも密接に関わる課題です。
例えば、育休や介護休暇などの「持続可能な働き方」に理解のある企業であれば、離職することなく長く働けるでしょう。
SDGsに取り組む企業に目を向けることで、福利厚生や従業員満足に熱心な企業であるかを見極める指標となるのです。
優良企業の見極め
一見して個人には関係なさそうなSDGsの取り組みも、優良企業かどうかを見極める参考となります。SDGsに取り組むことは、コンプライアンスの遵守などの健全な経営を行う証拠であり、企業価値にも繋がってきます。
実際にSDGsへの取り組みは、投資家からの評価につながります。その代表例がESG投資です。
ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(social)・ガバナンス(Governance)を考慮して行う投資のこと。ESG課題の解決に取り組むことは、社会のニーズに応じる技術力を持つことであり、企業価値の向上につながるという考えに基づきます。
製造業とSDGs
製造業は電子機器から食品、医療機器など、あらゆる業界に関わりを持ちます。業種によって差はあれど、SDGsの「17の目標」にも深く関わっているといえるでしょう。
製造過程とSDGs
製造過程ひとつをとっても、SDGsにまつわる取り組みは多岐にわたります。例えば、環境に優しい原材料の選定や、製造過程で発生する廃棄物のリサイクル・代替などが挙げられます。
また、原材料を開発途上国から輸入している場合は、現地での雇用や教育支援なども重要なSDGsとなります。
女性従業員の活躍とSDGs
製造業は女性従業員の活躍において、他の業界に遅れを取っています。帝国データバンクの調査によれば、「女性管理職割合の平均」は全体で8.9%だったのに対し、製造業は6.9%と「建設(6.1%)」「運輸・倉庫(5.7%)」に次ぐ低さとなっており、平均を下回るのはこの3業界だけとなっています。
参考:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210805.pdf
SDGsにおけるジェンダー平等は、他の業界よりも緊急度を高めて取り組むべきといえるでしょう。
安全とSDGs
製造業は他の業界と比べて、安全への配慮が求められます。厚生労働省「労働災害統計」においても、製造業は他の業界と比べて労働災害が多いことが読み取れます。
参考:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/anst00.htm
安全管理や長時間労働の是正など、従業員の働きやすい環境の整備は非常に重要な課題となります。従業員のスキルアップを促進する制度の充実なども、安全につながるSDGsといえるでしょう。
技術革新とSDGs
SDGsの目標のひとつである「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、インフラの強靱化やイノベーションの促進などがターゲットとして設定されています。
持続可能な社会のための新素材や、産業用ロボットの製造などもSDGsに含まれます。SDGsは「エコに取り組む」「発展途上国を支援する」といった慈善事業だけでなく、企業として正しく成長することも含まれるのです。
東海エリアでSDGsに取り組む製造業
企業はSDGsに対して、どのように取り組んでいるのでしょうか。東海エリアで製造業を営む企業から、いくつか具体例を紹介します。
武田工業所
愛知県半田市にある武田工業所はお客様のニーズに1つひとつお応えできる製造請負業の事業を展開している企業です。 「安全と信頼を積み上げる。TAKEDAはつくる力で人と社会を幸せにする。」をスローガンとして、SDGsの4つの目標に取り組んでいます。
とくに顕著な成果をあげているのが「ジェンダー平等」と「不平等をなくす」の取り組みです。男性100%だった社員構成は、「#工業女子」を合言葉とした女性の雇用推進により、男性60%・女性40%にまで変化しました。
また、高齢者や外国人の受け入れも進めており、ダイバーシティにも取り組んでいます。
武田工業所:https://takedakogyosho.com/
敷島製パン株式会社
愛知県名古屋市にある敷島製パンは製パン製菓事業を主とした事業を展開している企業です。
ダイバーシティの取り組みはもちろん、女性管理職の比率を30%にあげていくと共に、夫の育児・家事関連にも着目したワークライフバランスの大きな推進を目標に掲げています。
敷島製パン:https://www.pasconet.co.jp/
キムラ制御システム
愛知県愛知郡にあるキムラ制御システムは制御盤製造から関連技術・製品の提供の事業を展開している企業です。
地元の教育現場の環境整備を行っており、地域社会への貢献に努めています。
また、ベトナムのグループ会社と分業体制を取り、優秀な外国人も積極的に雇用しています。2024年までに全従業員の50%を外国人材にする目標を掲げ、グローバル化とダイバーシティの取り組みを推進しています。
キムラ制御システム:https://kimuraseigyo.com/index.html
マツオカ建機
三重県三重郡にあるマツオカ建機は建設機械レンタルの事業を展開している企業です。 ISO14001(環境マネジメント)取得、「健康経営優良法人2020」認定、「地域未来牽引企業」選定など、従業員満足や環境保全に関する活動で多くの評価を受けています。現在、これらの取り組みをSDGsとして整理し「SDGs宣言」の準備を進めています。
具体的な活動として、禁煙・メタボ改善・運動促進などに取り組む「健康チャレンジ」や、BR組織を導入した安全や健康などへの取り組みが挙げられます。
※BR組織:人材を次元的に重点配置して、業務改革と人材の有効活用を図る仕組み。部門・部署を越えてチームを編成する。
マツオカ建機:http://www.matsuokakenki.co.jp/
SDG取り組み記事:https://sdgs-mie.com/activity/matsuokakenki/
まとめ
近年、様々な場面で耳にするようになったSDGsですが、転職活動においても気を配るべき事柄です。企業が「従業員の働きやすさ・働きがいに投資しているか」「コンプライアンスに則った経営体制か」などを見極めるポイントになるからです。
また、自身が働く上で何を大切にするか考えるきっかけにもなり、働きがいにも関わってきます。
まだ東海エリアにおいては、SDGsに取り組む企業はさほど多くありません。だからこそ、SDGsへ目を向けることで優良企業を見極める指標となるのではないでしょうか。
東海エリア(愛知・岐阜・三重)では、各県がSDGsのwebサイトを立ち上げており、普及・啓蒙を進めています。ガイドブックや各企業の取り組みなども紹介されているので、SDGsに関心を持った方は確認してみてはいかがでしょうか。