昨今、転職活動はスタンダードなものとなってきています。しかし、「転職回数が多い」ことは、不安要素の一つにもなってきています。採用企業は「長期的に安定」して働いてくれる人材を求めています。過去の経歴で転職を繰り返していたり、短期離職が続いていると、採用企業は後ろ向きな判断をしがちです。
しかし、実は転職回数が多いことが必ずしもネガティブな要素ではなく、むしろキャリアアップのチャンスを広げる大きな要因となることもあるのです。
本記事では、職務経歴書の書き方の事例や転職回数が多いことを有利に活かす方法、成功事例を紹介していきます。転職活動を進める中での不安を解消し、多い転職回数でも自信を持って次のステップに進めるよう、実践的なアドバイスをお届けします。
目次
採用担当者が気にする転職回数は何回から?
リクナビネクストの調査によれば、多くの採用担当者は転職回数が「3回目」から気になると回答しており、その割合は全体の40%に上ります。一方で、「転職回数が気にならない」と答える採用担当者も全体の15%存在します。
参考:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/5883/
また、「書類お見送り理由」についてみらいキャリアの調査では、下記グラフのようになりました。グラフを見てみると、経験社数が理由でお見送りになっていることが22.2%と少なからずあることが分かります。しかし、経験不足が43.3%と大部分を占めており、経験が重視されていることも分かります。転職回数が多い場合でも、しっかりと経験をアピールできれば書類通過できると言えるでしょう。
転職回数に対する評価は職種や業界によって異なりますが、転職のたびに新しいスキルや経験を積んでいることをしっかりと伝えることで、プラスの印象を与えることが可能です。重要なのは、転職回数が多いことをどう説明し、どのように自分の成長につなげてきたかを面接で効果的にアピールすることです。
転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方
転職回数が多い場合、面接での説明が重要であることは言うまでもありませんが、その前に、まずは書類選考を通過する必要があります。採用担当者にとって職務経歴書は、あなたのこれまでのキャリアを判断する最初の材料です。転職回数が多いことで懸念を持たれる可能性があるからこそ、書類段階から戦略的にアピールすることが大切です。職務経歴書の構成や内容に細心の注意を払い、転職回数が多いことよりもあなたの強みや実績を的確に伝えることで、採用担当者の目に留まる書類を作成しましょう。
職務経歴の要約で強みをアピールする方法
職務経歴書の冒頭に記載する「職務経歴の要約」は、採用担当者に対して強みを一目で伝える重要な部分です。転職回数が多い場合、それぞれの職場で培ったスキルや経験の中で特に重要なポイントをまとめ、どのようにして価値を提供してきたかを簡潔に表現しましょう。例えば、「プロジェクトマネージメント」「営業力」「リーダーシップ」など、強みを的確に表すキーワードを盛り込みます。製造業の場合であれば、「生産管理」「品質管理」「プロセス改善」「コスト削減」「安全管理」など、業界特有の強みを的確に表すキーワードを盛り込むことが効果的です。そして、転職回数が多いことにより培ってきたこれまでの職務経験が次のステップでどのように役立つかを示すことが大切です。
転職理由の一貫性を持たせる書き方
転職回数が多い場合、職務経歴書では転職理由に一貫性を持たせることが求められます。それぞれの転職がキャリアの成長やスキルアップ、特定の目標に向けた合理的な決断であることを明確に伝えましょう。例えば、「新しい業界での経験を積むため」「マネジメントスキルを強化するため」など、職務ごとに転職理由を具体的に記載し、全体として一貫したキャリアパスを描くことが重要です。転職回数が多い場合でも、この一貫性が、あなたのキャリア志向や目的意識を強調する役割を果たします。
実績や成果を強調するポイント
職務経歴書では、転職回数が多い場合でもそれぞれの職場での実績や成果を強調することで、ポジティブな印象を与えることが可能です。具体的には、数値やデータを用いて、「売上を〇%向上」「プロジェクトを〇ヶ月で完了」など、目に見える形で成果を示しましょう。また、各職場でどのような課題に直面し、それをどう解決したか、どのような成果を上げたかを具体的に記載することで、採用担当者に対してあなたの実力と貢献度をアピールできます。
空白期間や短期間の転職の説明方法
転職回数が多い場合、特に空白期間や短期間での転職について、職務経歴書でしっかりと説明することが重要です。空白期間については、その間に何をしていたのか、例えばスキルアップのための学習や資格取得、ボランティア活動など、ポジティブな活動を具体的に書きましょう。短期間の転職については、その理由を正直かつ前向きに記載します。「自分に合わないと感じたため再挑戦した」「より高い目標に向かってチャレンジするために決断した」など、転職回数が多いことについて前向きな姿勢を伝えることがポイントです。
転職回数が多いことをプラスに伝えるコツ
転職回数が多いことを採用担当者にプラスに捉えてもらうためには、戦略的なアプローチが必要です。どうしてその回数なのか、その回数によってどんなことを感じたのか、自身はどのように成長することができたのかなど、転職回数が多いことをプラスの面で伝えていくことを心がけます。
また、転職回数が多いということは、その分だけたくさんの会社を経験していること。つまり、様々な会社の職務を通じて、なにを経験し学んできたのか?単純に回数が多いことや理由に焦点をあてるのではなく、その分だけ学び経験してきたことをプラスとして捉えて面接時にお話することが望ましいでしょう。
なぜその転職回数になったのかを明確に説明する
まずは、なぜその転職回数になったのかを明確に説明することが重要です。単に「職場が合わなかった」や「もっと良い条件を求めた」という理由ではなく、具体的な状況や背景を詳しく説明しましょう。
例えば、
・スキルアップのため
・会社都合
・環境改善
・入社時との条件ギャップ
・家庭の事情 など
社数を隠す必要はありませんし、嘘をつく必要もありません。ただし、他責のような伝え方はせず、自分のその時の心理や状況などを客観視しながら、転職回数は多いけれど、それによって何を得ることができたのか伝えましょう。合理的な理由を示すことで、回数が多いことにも理解を得やすくなります。
多くの転職で培った成長やスキルをアピールする
また、転職回数が多いということは、あらゆる業界や職種での経験や知見を得られるメリットもあります。転職理由での反省点や活かしていったことも含め、自身のスキル・キャリアアップを図ることができた要因も伝えていきましょう。
面接時では他にも以下のことなどを伝えていくと転職回数が多いこともプラスになります。
・前向きさが感じられるか
・意欲的であるか
・他責な考えではないか・キャリアの一貫性があるか
⇒一貫性がない場合でも、明確な理由を伝え、このキャリアで経験を積んでいきたい旨を伝える
・転職回数は多いが、在籍期間は長いこと
・転職回数が多いことを反省し、最後のキャリアとして腰を据えていきたい気持ち
キャリアアップのための選択だったことを伝えるポイント
転職がキャリアアップのための前向きな選択だったことを伝えることも重要です。「自分のスキルをさらに高めるために、より挑戦的なポジションを求めて転職を決意した」というように、自身の成長意欲や目標達成に向けた積極的な姿勢をアピールしましょう。これにより、転職回数が多いことが自己成長のための合理的な決断であったことを納得してもらえます。
新しい環境で得た適応力や柔軟性を強調する方法
最後に、新しい環境で得た適応力や柔軟性を強調することも重要です。転職を繰り返す中で、異なる組織文化や業務フローに迅速に適応できる能力を身につけたことをアピールしましょう。例えば、「新しい環境でも迅速に適応し、チームに貢献できる柔軟性を持っています」という具体的なエピソードを交えて説明すると良いでしょう。
以上のポイントを押さえて、転職回数が多いことをプラスに伝えることで、採用担当者に自身の価値をしっかりとアピールすることができます。
【年代別】面接時の転職回数の伝え方
面接での伝え方には年代ごとにポイントがあります。それぞれの年代に応じたアプローチ方法を理解することで、効果的に自分をアピールすることができます。ここでは、20代、30代、40代のそれぞれの年代別で、面接時に転職回数が多いことについてどう伝えるかを紹介します。
【20代】成長意欲と柔軟性を強調しよう
20代では、まだキャリアの初期段階であることが多いため、成長意欲と柔軟性を強調することが重要です。転職回数が多い場合でも、「新しい分野に挑戦し、スキルを多角的に磨くための決断だった」と説明し、自分の成長意欲をアピールしましょう。また、異なる環境での経験を通じて得た柔軟性や適応力を具体的なエピソードと共に伝えることで、ポテンシャルの高さを示すことができます。
【30代】専門性や実績をアピールしよう
30代になると、一定の専門性や実績を求められることが多くなります。この年代では、転職回数が多いことを説明する際に、それぞれの職場で得た具体的なスキルや成果を強調しましょう。「特定の分野での専門性を高めるために転職を重ねた」と説明し、各職場での実績や具体的な成果を紹介することで、信頼性と実力をアピールすることができます。
しかし、必ずしも一貫したスキルアップを軸に転職を重ねてきたわけではない場合などは、転職回数が多いことを説明する際に、各職場での多様な経験や適応力を強調しましょう。「異なる業界や職種での経験を通じて、幅広い視野と柔軟な対応力を身につけた」と説明し、多様な環境での適応力や新しいチャレンジへの意欲をアピールすることが重要です。
【40代】リーダーシップと長期的なビジョンを示そう
40代では、リーダーシップや長期的なビジョンが求められることが多いです。転職回数が多い場合でも、「多様な経験を通じてリーダーシップを発揮し、チームを成功に導いてきた」と説明し、自分のリーダーシップ能力を強調しましょう。また、これまでのキャリア全体を俯瞰し、長期的なビジョンを持って転職を重ねてきたことを伝えることで、計画性と成熟度をアピールすることができます。
転職回数〇回!転職成功した人の事例を紹介
20代後半、転職回数5回!
地元愛知の高校を卒業後、モノづくり業界をメインにキャリアを積み重ねてきたAさん。
当社でのご面談時点で既に5社での就業経験があり、自身も転職が多いことを反省している様子でした。
転職を繰り返してきた理由としては、環境改善(通勤時間や残業時間の多さ)やスキルのレベルアップなど、しかし次の転職を最後としたいという気持ちがありました。
面接時にはこれまでの転職理由とこれからは腰を据えて働いていきたいという強い気持ちを伝えることに。そしてその言葉を聞いた採用担当者もAさんの意思を受け取り、またこれまでモノづくりをされてきた経験が活かせることもあり、無事ご縁がつながることになりました。
▼転職ストーリー
50代前半、転職回数7回!
中学卒業後、製造業界に入ったBさん。食品メーカーでの製造職など多種多様な業界と職種を経て、最後は物流業界で配送や出荷管理に長年従事されてきました。
若手の頃に多くのご経験をされ、自身にあった働き方を見つけたBさんは、物流業界でのキャリアを伸ばしていくことに決めたそうです。
労働環境改善のために転職活動をスタートさせることになり、無事C社とのご縁が実りました。
地元愛知で自動車部品を中心に事業展開しているC社の特徴は現場を最も重視していること。
多くの中途採用者のほぼ全員が、現場目線を大切に働いているとのこと。
実際に現場でのご経験を積んできたBさんとの相性はばっちり。これまでのご経験や転職理由も面接時に明確に伝え、今後のキャリア面での気持ちがご評価された事例でした。
▼転職ストーリー
まとめ:転職回数が多い場合でも、それを活かした転職活動をしよう
転職活動中、やはり自身の転職回数が多いことは不安ですよね。
実際に採用担当者も、あなたの職務経歴書では転職回数を最も気にしていると言っても過言ではありません。しかし、「なぜ転職をしたのか」を伝えることができれば、採用担当者も安心することができます。
また年齢を重ねれば転職回数が多くなってしまうのも仕方のないことです。若い方はこれからしっかりとスキルを磨いていきたいこと、またミドル層の方であればこれまで培ってきたスキルを活かしていきたいなど、ご自身の状況やタイミングで使い分けていきましょう。
コンサルティング業界出身のコンサルタントが自ら「コンサル業界のリアル」を多く発信しているので、転職に役立つ情報も満載です。
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