金型は機械を設計する上で必ずと言って良いほど必要な技術です。
また日本の金型技術は世界からも高い評価を受けており、日本の製造業の発展において重要な役割を担ってきました。
しかし一方でモノづくり分野の知見が少ない人にとって、「金型」と一言に言われても一体どんなものなのか想像しづらいのではないでしょうか。
そこで本記事では、金型技術の基礎と業界動向について解説していきます。
目次
金型技術の基礎
金型は機械設計に必要不可欠な技術であるため、4年制大学の機械工学科ではほとんどの場合必修科目の中で習うことになっています。
まずは金型技術の基礎について解説していきます。
そもそも金型って?
金型とは、製品を生産するための型のことを言います。
身近な例で言うと「鯛焼き機」も金型の1つであり、鯛の形をした金属の型に材料を流し込み、鯛の形をしたお菓子を作り出しています。
製品の外観や品質は金型によって左右されるため、金型技術はモノづくりにおける重要な要素の1つです。
また金型を作るコストは決して安くなく、形状変更も容易にできないため、一度作った金型は大切な資産として扱われます。
金型は大量生産に向いた製造技術
金型は製品の外観や品質を左右するものであるため、その製作にはそれなりの時間と費用が割かれます。
しかし金型は1度作ってしまえば、1つの金型から同じ外観・品質の製品を無限に生産できるようになります。
金型は製品の大量生産を前提として作られるものであり、モノづくりにおいては必要不可欠な存在です。
金型の種類は様々
一言に「金型」と言っても、その種類は様々です。
ここでは、金型の種類について紹介していきます。
プレス用金型
プレス用金型は、プレス機に取り付けて使う金型です。
板状の材料に対して金型を押し付けることで、材料をくり抜いたり変形させたりします。
プレス用金型は主に鉄・銅・アルミニウムなどを加工するのに使われ、均一な厚さの材料を加工するのに適しています。
【適用例】
・自動車のボディー
・家電製品
など
プラスチック用金型
プラスチック用金型は、その名の通りプラスチック製品を生産するための金型です。
一言にプラスチック用金型と言っても複数の成形方法がありますが、最も一般的なのが「射出成形」と呼ばれるものです。
溶かしたプラスチック材料を金型へ射出し、冷やして固めた後、金型から製品を取り出します。
プラスチック用金型は「プラスチックを一旦溶かす」という特性上、
・温度
・射出速度
などによって製品の品質は大きく変わってきます。
よってプラスチック用金型で製品を大量生産する場合は、より一層厳重な品質管理が求められます。
【適用例】
・テレビ
・プラモデルなど
ダイカスト用金型
金型に溶かしたプラスチックを射出するプラスチック用金型に対し、ダイカスト用金型は金型に溶かした金属を射出します。
射出する金属の種類としてはアルミ合金や亜鉛合金などです。
ダイカスト用金型は仕上がりの精度が高いのが特徴で、精密機械の部品の生産などにも用いられます。
【適用例】
・精密機械の部品
・デジカメのボディー
など
鋳造用金型
鍛造用金型は、溶かした金属を流し込み、冷却することで製品を生産する金型です。
ダイカスト用金型のように溶かした金属を射出するというよりは、ゆっくりと流し込むといったイメージです。
ダイカスト用金型よりも1つ1つの製品を生産するのに時間がかかるため、大量生産というよりは小規模ロッドでの生産に向いた金型です。
【適用例】
・エンジンのブロックやバルブなど
鍛造用金型
鍛造用金型は金属材料に金型を押し付け、それを叩いて金属材料を変形させるのに用います。
金属材料を叩く(鍛造する)ことで製品の強度を上げることができるので、強度が求められる製品の生産に用いられることが多いです。
【適用例】
・歯車
・エンジンのピストン
など
金型技術の業界動向
金型は古くから存在する技術であり、モノづくりの技術が進歩した現在でも製造現場では日常的に使われています。
今後、金型技術はどのように発展していくのでしょうか。
ここでは金型技術の業界動向について紹介していきます。
さらなる精密化が求められる
家電製品を始めとする世の中の多くの製品は、時代が進むにつれて小型化が求められるようになっていきます。
製品が小型化するということは、1つ1つの部品に対して更なる高い精度が求められるということです。
金型メーカーは古くから金型の精度を高める研究を続けてきましたが、金型の精度を高め精密な部品を生産したいという需要は今後も途絶えることはないでしょう。
IoTと金型の融合
IoTは「Internet of Things」の略で、様々な物がインターネットに接続され、情報交換がなされる仕組みのことを言います。
金型業界にもIoTを推進する流れがあり、金型の経年劣化やカス詰まりなどを検知し、金型の状態を常時モニタリングする技術が既に採用されています。
IoTは今後モノづくり分野において更なる発展が予想されているため、「金型×IoT」という組み合わせもすぐに業界の中で浸透していくはずです。
海外企業も金型技術を高めてきている
日本の金型技術は古くから海外から高い評価を受けてきました。
金型の製作は経験やノウハウが求められる部分が多いため、モノづくり大国の日本だからこそ実現可能な技術がたくさんありました。
しかし近年は中国や韓国といった国もモノづくりの技術を急速に高めてきているため、日本じゃないとできないという技術が少なくなりつつあります。
日本の金型メーカーは海外企業の勢いに負けないためにも、今後海外企業と差別化ができるような金型技術を開発していく必要があります。
まとめ
本記事では金型技術の基礎と業界動向について解説しました。
金型はモノづくりの根幹を担う存在であり、モノづくり分野で働く人は必ず知っていなければいけない知識です。
金型技術というものにこれまで馴染みがなかったという人も、金型技術について知ることでモノづくりについてより深く知ることができるはずです。
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