製造業や工場の求人で見かける「溶接」という仕事は、モノづくりの現場では切っても切り離せない重要な職種です。
「なんとなくこういう仕事かな?」というイメージはできるものの、実際にはどのような仕事なのか具体的には分からないかもしれません。
今回は、モノづくりの魅力を存分に味わえる製造職の一つである溶接の仕事内容について解説します。仕事内容から必要な資格、将来性まで細かく紹介していますので、ぜひこれからの仕事選びの参考にしてください。
目次
溶接の仕事内容を分かりやすく紹介
溶接の仕事内容
溶接の仕事は、様々な部品に加圧・加熱を行い、一つの部品として接合する製造現場で欠かせない加工技術です。図面や仕様書に基づいて、適切な素材や溶接方法(融接・圧接・ろう接)を選び、作業を進めます。溶接作業者は、溶接後の品質検査も行い、不良箇所があれば修正を行います。
私たちの生活には欠かせない自動車や家具、貴金属など、あらゆる製品の製造過程で溶接技術が利用されています。製造業や建設業では不可欠な工程であり、高度な技術と精密さが求められる、まさにモノづくりのプロフェッショナルと言える職種です。
溶接技術が発展し、溶接作業を専門的に行う職人が必要とされるようになってから、溶接作業者のことを「溶接工」と呼ぶようになりました。
溶接の作業内容
次に、溶接の仕事における作業内容をいくつかの項目に分けて説明します。これはあくまで一例ですので、各企業や現場によって作業の流れは異なります。具体的な作業は、その会社の業務マニュアルに従って行ってください。
■準備作業
溶接する材料の確認と準備を行います。
図面や仕様書を基に、必要な溶接方法や手順を確認しましょう。
■溶接
溶接機や工具の設定・調整をします。
実際に材料の溶接を行い、部品を接合していきます。
■検査と修正
溶接部の品質検査(目視検査、非破壊検査など)を実施します。
必要に応じて溶接部の修正や仕上げ作業を進めていきます。。
■後片付け
作業後の工具や機材の片付けを行います。
工具や機材が製造現場に残っていると、怪我や事故の元となるため、清掃と整理は重要な工程です。
溶接の仕事は、これらの作業を通じて金属部品の製造や修理を行い、さまざまな製品や構造物の製造に貢献しています。
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溶接の仕事における安全対策
溶接の仕事における安全対策は、作業員と安全を確保するために極めて重要です。
まず、適切な保護具を着用します。防護マスク、ゴーグル、耐熱手袋、溶接用エプロンなどがあります。これらは、火花や有害な紫外線から身を守るために必要です。
また、有害ガスや煙を排出するための適切な換気システムも重要となってくるでしょう。
作業エリアは整頓され、可燃物や障害物がないように保つことが必要です。火災対策として、消火器を常備し、緊急時の対応手順を全員が理解していることも大切です。
電気溶接の場合は、電気ショックを防ぐために適切な接地と絶縁を行い、湿気の多い場所での作業を避けます。
これらの安全対策を徹底することで、溶接作業に伴うリスクを最小限に抑え、安全に作業を進めることができます。
溶接の種類を紹介
溶接には大きく分けて「融接」「溶接」「ろう接」の3種があります。ここでは、それぞれの特徴を紹介していきます。
溶接の種類~融接~
融接は、溶接の中で最も一般的な方法の一つで、金属材料を高温で溶かして接合する技術です。この方法では、接合する部品を加熱して溶融状態にし、冷却することで一体化させます。代表的な融接法には、アーク溶接、ガス溶接、レーザー溶接などがあります。アーク溶接では電気アークを利用して金属を溶かし、ガス溶接では酸素とアセチレンの燃焼熱を使用します。レーザー溶接は高エネルギーのレーザービームを使用して精密な溶接を行います。融接は強固な接合が可能で、自動車や建築、造船など多岐にわたる分野で利用されています。
溶接の種類~圧接~
圧接は、金属材料を加熱せずに圧力を加えることで接合する技術です。接合部に圧力を加えることで材料を接合します。代表的な圧接法には摩擦圧接や抵抗溶接があります。摩擦圧接は部品を摩擦させて接合し、抵抗溶接は電流を通じて接合部を加熱し圧力を加えます。これにより、部材が溶けることなく強固な接合が可能です。軽量部品や異種金属の接合に適しています。
溶接の種類~ろう接~
ろう接(はんだ付けとも呼ばれる)は、部材を溶かさずに、ろう材(はんだ材)と呼ばれる低融点の金属を溶かして接合する方法です。この方法では、ろう材が接合部に浸透し、部材とろう材の間で化学的な結合を形成します。ろう接は、比較的低温で作業が行えるため、熱による母材の変形や損傷を抑えることができます。電子機器の基板の接合や精密機械部品の接合に多く用いられます。銀ろうや銅ろうなどの材料が使用され、作業の難易度は低いものの、高度な技術と注意が求められます。
溶接の仕事が向いている人
集中して1つのことに取り組める
溶接の仕事は高い集中力が求められます。細かい作業や正確な技術が必要で、少しでも気を抜くと不良品が発生したり怪我や事故につながる可能性があります。
溶接作業中は、長時間同じ作業に集中し、細部に注意を払う能力が重要です。この集中力が、作業の精度を高め、品質を確保するために不可欠です。
コツコツとした細かい作業が得意
溶接の仕事では、精密な作業が求められます。部品の位置合わせや溶接線の管理など、細かい作業をコツコツと行うことが重要です。細部にわたる注意と忍耐力が必要で、慎重に作業を進めることで、品質の高い接合が実現できます。このような細かい作業を得意とする人が向いています。
正確に素早く作業ができる
溶接の仕事では、正確さとスピードの両方が求められます。溶接作業は生産ラインの一部として効率的に進める必要があり、正確な作業を迅速に行うことで、全体の生産効率が向上します。高い技術力を持ち、短時間で高品質な溶接ができることが求められるため、正確で素早い作業ができる人に向いています。
技術の習得に前向きな考えを持てる
溶接の仕事は多様であり、常に新しい技術や方法が導入されています。技術の習得に対して前向きな考えを持ち、常に学ぶ姿勢を持つことが重要です。新しい技術を習得し続けることで、より高度な作業が可能となり、職場での評価も向上します。技術革新に対応できる柔軟性と学習意欲がある人が向いています。
製造業や工場で働くために最も重要なポイントは「ものづくり」が好きなことです。さまざまな工程を経て製品がつくられる様にやりがいや魅力を感じる方であれば、溶接の仕事は「向いている」と言えるでしょう。
日本の産業を支える重要な製造業は、ものづくりを通じて社会への貢献性を充分に感じることができるでしょう。
\現場の声/モノづくりのプロから溶接作業の魅力を聞いてみました!
やはり、自分の手で部品を一つに接合し、綺麗な製品が出来上がった瞬間は達成感があります!「手に職をつける」という言葉をよく聞きますが、まさに溶接工であれば実現することができるでしょう。技術を磨くことで、新しく出来ることが増えるのも魅力の一つです。
溶接の仕事は、高い技術を求められる仕事です。一朝一夕で身につけられるスキルではありません。先輩方に日々仕事を教えていただきながら、プロフェッショナルとしてスキルを磨いていくことが必要です。大変なことも多いですが、それゆえに自分の技術が高まることが目に見え、仕事に対しての満足度が高いです。成長を実感しやすい仕事だと思います。
ものづくりの現場は日々進化していっています。
仕事に対して飽きたりすることもなく、学び続ける楽しさがあります。常に新しい技術に触れながら働くことができるのが魅力の一つだと思います。
溶接の仕事で必要となる資格
アーク溶接特別教育
アーク溶接特別教育は、アーク溶接を行うための基礎的な技術と安全知識を習得するための教育です。アーク溶接の機器や材料の取り扱い、作業環境の安全管理について学びます。この教育は、アーク溶接作業に従事するために必須であり、基本的な技術と安全対策を理解するためのものです。実務に入る前に受講し、必要な資格を得ることが求められます。
溶接技能者
溶接技能者は、溶接作業に関する専門的な技術と知識を持つことを証明する資格です。この資格を取得することで、特定の溶接方法や材料に対する高い技能を持っていることが証明されます。技能試験や実技試験を通じて、溶接技術の習熟度を測り、溶接品質の向上や作業の精度を確保するために重要な資格です。
溶接管理技術者
溶接管理技術者は、溶接作業の品質管理や工程管理を担当する資格です。溶接プロセスの管理や、作業の品質を維持するための規格や手順を策定・実施する能力を示します。この資格は、溶接部品の品質保証や効率的な生産を実現するために必要で、管理職や指導的な役割を担う際に重要です。
溶接作業指導者
溶接作業指導者は、溶接作業の技術や安全性について、他の作業者に指導するための資格です。技術的な知識や指導方法を習得し、溶接作業の教育・訓練を行う能力を持つことを示します。新しい作業者や技術者に対して、適切な指導を行い、作業品質や安全性を確保するために役立つ資格です。
溶接の仕事の給料はどのぐらい?
※溶接工の給料は、経験や技術、地域、企業規模によって異なってきますので、一般的な情報として参考にしてください。
■初任給
新卒や未経験者の場合、初任給は月給18万〜25万円程度が一般的です。地域や企業の規模、業種によって差があります。
■経験者
経験を積んだ溶接工の給料は、月給25万〜40万円程度です。技術や資格によっては、さらに高い給与が期待できます。特に高度な技術を持つ溶接工や、特殊な溶接技術を必要とする職場では、高収入が見込まれます。
■年収
年収としては、300万〜600万円程度が一般的です。ただし、特殊技能を持つ溶接工や、管理職、海外でのプロジェクトに参加する場合などは、年収が800万円を超えることもあります。
■ボーナスや手当
多くの企業では、基本給に加えてボーナスや各種手当(技術手当、危険手当、残業手当など)が支給されます。これにより、年間の総収入が大幅に増えることがあります。
■地域差
都市部と地方では給料に差があることが多いです。都市部では生活費が高いため、それに見合った給料が支給される傾向があります。
溶接工の給料は、経験や技術、勤務地によって大きく異なりますが、未経験者でも18万〜25万円程度の初任給が期待でき、経験を積むことで年収600万円以上を目指すことも可能です。高い技術や特殊な資格を持つことで、さらに高い収入が得られるでしょう。
未経験から溶接の仕事を目指す方法
未経験から溶接の仕事を目指すためには、自動車業界や建築業界で製造職として従事していきましょう。最初は溶接のみで仕事をすることはなく、加工や組立など幅広いものづくりの製造の仕事を経験し、徐々に溶接工としての技術を磨き独り立ちを目指しましょう。
製造に対しての知識や機械の操作方法をしっかりと学び、自分にあった企業選びをして目指していくことがおすすめです。
溶接の仕事の将来性
溶接の仕事の将来性は、AIやロボット技術の進化に伴い、大きな変化が期待されています。
①自動化と効率化
AIやロボット技術の導入により、溶接作業の自動化が進んでいます。特に大規模な製造業では、溶接ロボットが既に導入され、高い精度と効率で作業を行っています。これにより、生産性が向上し、製品の品質も安定します。
②高度な技術の需要
AIやロボットが普及する一方で、これらの機器を操作・管理するための高度な技術が求められます。溶接工は、ロボットのプログラミングやメンテナンス、AIシステムの管理など、新しいスキルを習得することで、専門職としての価値を高めることができます。
③人手不足の解消
高齢化社会に伴う人手不足の問題を解消するためにも、AIやロボットの導入は有効です。これにより、若い世代が溶接の仕事に興味を持ちやすくなり、業界全体の活性化が期待されます。
④安全性の向上
溶接ロボットの導入は、作業者の安全性にもつながります。危険な作業環境での人手を減らし、事故のリスクを低減することができます。また、AI技術を活用することで、品質のモニタリングや異常検知がリアルタイムで行われ、品質管理が強化されます。
溶接の仕事は、AIやロボット技術の進化により、ますます高度化・専門化していくと考えられます。自動化が進む中で、溶接工は新しい技術を習得し、より付加価値の高い業務にシフトすることで、将来的にも安定した需要が見込まれます。
溶接は日本の製造業を支えるものづくりのスペシャリスト!
今回は、溶接の仕事について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?
溶接の仕事は、AIやロボット技術の進化により新たな可能性が広がっており、今後も高い需要が期待されています。高度な技術を身につけることで、溶接工としての価値をさらに高めることができ、安全性や効率性も向上します。
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