皆さんは「生産管理職」の業務内容をご存じでしょうか?
生産活動において、生産管理職はなくてはならない存在であり、市場の予測や社内の動きを観察しながら業務を進めていく必要がある常陽な役目を果たしています。
今回は、生産管理職で役立つ知識や実際の働き方を紹介していきます。
目次
生産管理に欠かせない「ロット」の知識とは?
生産管理職のみに関わらず、製造業においては「ロット」という言葉が使われています。
結論から言うと、ロットとは、「一定数量をまとまりとした最小単位」のことを指します。
使い方としては、「1ロット、2ロット、・・・」のように単位として使われます。
なお、ロットは使用場面によって3つの意味を成します。
これから3つのロットの意味についてご説明します。
製造ロット
製造ロットとは、製品を作る際の最小単位を意味します。
製造ロットを設けることで、製造側の在庫管理や生産管理を効率的に行うことができ、さまざまなムダを減らすことにつながります。
とはいえ、製造ロットの定義が企業によって多少異なっているのが現状です。
しかし、上記の説明が本来の意味であることを理解しておきましょう。
購入ロット
購入ロットとは、製品を販売する際の最小単位を意味します。
購入ロットは、販売側が決めていることがほとんどです。販売側の都合で購入ロットの数量や価格が調整されることもあります。
購入ロットを設けることで、販売側の売上の確保や売上管理を効率的にできるといったメリットがあります。
最小ロット
最小ロットとは、製品を受注する際の最小単位を意味します。
最小ロットを設けることで、販売側の売上を確保することにつながります。
例えば、まとめて10個以上作らないと利益が出ない場合は、最小ロットを10にセットすることで、損が出ないようになります。
ロット番号を利用するメリットとは?
ここまでにご説明してきたロット番号を利用することで、生産管理においてどのようなメリットを与えるのでしょうか。
これからロット番号を利用するメリットについてご紹介します。
生産におけるムダを極力減らすことができる
製造業において、ムダを無くすことはとても重要なことであると言えます。
トヨタ生産方式の中で「7つのムダ」が定義されており、7つのムダを極力減らす活動が多くの企業でも行われています。
生産を行うにあたって、製造ロットを決め、決められた計画で生産することで、在庫のムダや造りすぎのムダを減らすことができます。
これが後に、生産コストや管理コストを削減することにつながります。
7つのムダとは…
加工のムダ、在庫のムダ、造りすぎのムダ、手待ちのムダ、
動作のムダ、運搬のムダ、不良・手直しのムダ
不良品の特定が容易になる
製造ロットを決め、ロット番号を割り振ることで、万が一、不良品が発生した場合にその商品のロット番号を確認し、どこの製造ロットを調査するべきなのかがすぐわかり、該当商品の追跡が容易になります。
結果的に、不良品発生時の手戻りを削減し、いち早く生産に戻ることができます。
在庫管理の効率が向上する
ロット番号を割り振り、各番号の情報を一元管理しておくことで、知りたい情報を1つのデータから検索することができ、在庫管理にかける時間を抑えることができます。
実際の生産現場では、多くの材料と商品が入り混じっていて、どこに何があるのかを把握するだけでも大変です。
その中で、詳細な情報を把握することは到底難しく、ロット番号を割り振ることがとても重要になってくるのです。
生産管理職の仕事とは?
それでは本題の生産管理職の仕事内容をご説明していこうと思います。
生産管理職の仕事内容を一言で説明すると、名前の通り「生産を管理する」仕事になります。
生産を管理するといってもさまざまな状況を予想し、計画を立てて生産していく必要があるため、想像以上に難しい仕事である反面、とてもやりがいのある仕事です。
これから前文で記述した「さまざまな状況」について深堀りしていこうと思います。
早速、さまざまな状況をいくつかご紹介していきます。
例えば、
・対象製品の市場需要
・部品の調達状況
・作業者の人員状況
などが挙げられます。
さまざまな状況は、これらに限った話ではなく、挙げるとキリがないほど存在します。
生産管理職は、そういった状況と常に向き合い、そのときにより効率的な生産計画を立てることが求められます。
生産管理職の一般的な業務としては、
・要求された生産数量に対して、納期から逆算して生産の計画を立てる。
・立てた生産計画を進めていくのに必要な材料の発注、人員の確保、作業環境の構築などを行う。
・在庫の過不足がないように管理をしながら生産を進捗する
・品質を担保した上で販売店などに出荷する
という流れになります。
とは言っても、「材料が予定通りに入荷してこない」ことや「生産するための機械に不具合があり生産ができない」ことなど、計画通りに進まないことも多々発生します。
その際に、可能な限り当初の予定に間に合うように、柔軟に調整を行うことも求められます。
この業務の流れを見て、お気づきの方もいるかもしれませんが、生産管理職は他部署とのやり取りが非常に多い部署でもあります。
営業や商品企画の部署などとどのくらいの数量を作っていけばよいかの方向性を決め、生産を行うための機械を製作する生産技術の部署から引き継ぎを行います。
品質を担保する際は、品質管理部門と連携し、品質項目を確認していく必要があるなど、さまざまな部署との連携が必要不可欠です。
この業務内容を見るだけでは、大変そうな仕事だという印象を持つ方も少なくないと思います。
正直なところ、簡単で楽な仕事ではないことは確かです。その場の状況を把握し、先を見越したアクションが求められるため、ある程度の経験は必要になってきます。
しかし、それ相応のやりがいは十分に感じることができます。
さまざまな部署とやり取りをし、生産を進捗するいわゆる「製造業の指揮者」とも言い換えることができるでしょう。
そういった立ち位置で仕事ができるのもひとつのやりがいであると言えます。
▼生産管理の魅力はこちらの記事も参考にどうぞ
製造業における生産管理の仕事とは?必要なスキルや仕事の魅力も紹介
働き方の例を紹介!メーカーでの生産管理の仕事
それでは、実際に生産管理職はどういった仕事をしているのかについて、1日のスケジュールを紹介していきます。
早速、メーカーでの生産管理職の仕事に追っていきましょう。
▼メーカー生産管理職の1日の一例
8:00 | 出勤 |
8:30 | 部内ミーティング |
9:00 | 工場巡回 |
11:00 | 資材手配 |
12:00 | 昼食休憩 |
13:00 | 生産調整会議 |
13:30 | デスクワーク |
15:00 | 出荷手配 |
16:00 | 設計会議 |
17:00 | 退勤 |
これはあくまで、ある1日のスケジュールを抜粋したもので、一例にほかなりません。
日によって会議の有無、長尺は変わってきますが、上記の表からわかるように、生産管理業務以外にも今後生産予定の商品について設計部門や生産技術部門などとの会議もあり、多くの部署との連携が重要になってきます。
残業や休日出勤はあるの?
正直なところ、生産管理職はそのときの生産状況によりけりとしか言うことができません。
例えば、大量注文によって生産が追い付かない場合は、残業で生産を行う必要がありますし、残業時間でまかなえない場合は休日出勤もあり得ます。
基本は業務時間内での生産計画を立てますが、そういった予期せぬ場合は、残業や休日出勤が発生する可能性があります。
まとめ
生産管理職の業務内容を理解することはできたでしょうか?
生産管理職は、そのときの状況に適応しながら、またさまざまな部署とかかわりを持ちながら、業務を進捗する必要があり、幅広い視野・思考力、コミュニケーション能力が業務に活きることでしょう。
また初めで説明したロットは、生産管理職ではよく使われるため、3種類の意味は抑えておくようにしましょう。